クラシックとオーディオの日々

毎日聴いている音楽の記録です。

プライスとドヴォルザークのピアノ五重奏曲(アムラン、タカーチ弦楽四重奏団)

今晩はマルク=アンドレ・アムラン(ピアノ)とタカーチ弦楽四重奏団によるフローレンス・プライスドヴォルザークのピアノ五重奏を聴きます。私の好きなハイペリオン・レーベル。
 1. アレグロ・ノン・トロッポ
 2. アンダンテ・コン・モート
 3. ジュバ:アレグロ
 4. スケルツォアレグロ – コーダ
 
アントニン・ドヴォルザーク(1841–1904)
ピアノ五重奏曲 第2番 イ長調 作品81(1887年)
 5. アレグロ・マ・ノン・タント
 6. ドゥムカ:アンダンテ・コン・モート
 7. スケルツォ(フリアント):モルト・ヴィヴァーチェ
 
タカーチ・クァルテット
 エドワード・ダズンベリー(第1ヴァイオリン)
 ハルミ・ローズ(第2ヴァイオリン)
 リチャード・オニール(ヴィオラ
 アンドラーシュ・フェイェール(チェロ)
 
フローレンス・プライスは再発見されてから次々と録音が出てきます。2009年に避暑地として使っていた家で大量の未発見楽譜が発見されたこともありますね。プライスは基本的に歌曲を中心に作曲していましたが、最近録音が出ている交響曲も素晴らしく、確かな作曲技術を備えていたことが伺えます。この五重奏もこの避暑地で発見されたものとのこと。第1楽章は劇的な5音音階の主題が提示された後、非常にこなれた展開。アカデミックな作曲技法です。第2主題がやはり黒人霊歌的でどこか懐かしい。時折ヴァイオリンやチェロのソロのパッセージが挟まって聞かせどころも多いです。ピアノのアムランは澄んだ音色で弦のアンサンブルと見事に溶け込んでいます。後半はかなり盛り上がって、プライスさんは情熱的な女性だったのではないでしょうか。気持ち溢れ出るというか。タカーチのダズンベリーさんのヴァイオリンが非常にいいですね、共感を持って弾かれています。
第2楽章も黒人霊歌風のゆっくりしたメロディ。第2楽章も黒人霊歌風のゆっくりしたメロディ。なんか懐かしいのは、日本人にはドヴォルザークの新世界のメロディが染み付いているからかも。子供の頃遊んでいて、夕方になるとあの新世界のコールアングレのメロディが流れて、友達たちと別れて帰る時のあの切なさというか、今日はもうおしまい、という寂しさというか…これがこういう霊歌風のメロディを聞くと、懐かしさが込み上げてくるのかもしれません。
第3楽章はジュバという、プランテーションで働く奴隷たちが踊ったダンスに由来しています。この楽章は非常に楽しく、ジャズ風の軽快さも感じられます。クラシックの室内楽作品の中で、こうした要素が取り入れられているのは他にはなかなか見られない斬新さがあります。
終楽章はいわゆるジーグ風、あるいはタランテラ風、アイルランド風。軽快なリズムで進みますが、最後は劇的な展開で締めくくられます。
この作品、結構傑作ではないかしら?これから演奏されるようになるかもしれません。
続くドヴォルザークのピアノ五重奏第2番。冒頭のチェロのメロディ、いいですねぇ、ロマンティック。すぐに中断されるように主部に入りますが、ここからは劇的。演奏は自然なアゴーギクと緊密なアンサンブルでこの曲の魅力を引き出してくれます。この作品もっと色々な演奏で聴きたくなりました。録音は自然でピアノは奥行きのある配置でオフマイク。ホールの響きを美しく捉えています。速くなる最後はかなり前のめりで盛り上がります。
第2楽章はウクライナ起源の民族音楽の形式、ドゥムカ。ヴィオラのリチャード・オニールは1番新しいメンバーですが、ソロがいい。語りかけるようなメランコリックな口調。次の長調の主題は明るいけれどあくまで穏やか。落ち着いた演奏。ドゥムカは暗い主題と明るい主題が交代して進みますが、次のチェロのソロとそれに絡む他の楽器の緊密感もいい。続く部分はかなり跳ねた演奏で熱狂的。アムランが煽りますね。楽しい興奮。最初の主題はヴァイオリン、ピアノと受け継がれますがこの部分が美しい。最後はまたヴィオラが物語を語るように弾いてくれます。しみじみとしたいい曲いい演奏。
3楽章はこのアンサンブルの持ち味かな、軽さが活かされて軽快で音色も明るい。トリオは涼やかな響きで魅了しますね。
4楽章もそのままほぼアタッカで突入、軽やかでありながらところどころのリズムを強調したり飽きさせません。中間部はかなり込み入った対位法を使って劇的に展開しますが、一つ一つの細かい音がよく聞き取れてその込み入った技法がよくわかります。最後は明るくアッチェレランドして曲を閉じます。
プライスとドヴォルザーク、どちらの作品にも共通する豊かな民族的要素が感じられました。素晴らしい演奏でしたが、特にプライスの五重奏曲は新たな発見として心に残りました。