クラシックとオーディオの日々

毎日聴いている音楽の記録です。

フランツ・クサヴァー・リヒターの交響曲

今晩は、は、12月5日にCPOレーベルからリリースされた、フランツ・クサヴァー・リヒターの交響曲集を聴きます。

収録曲は以下の通り。


フランツ・クサヴァー・リヒター(1709–1789)
フーガ付きシンフォニアト短調
アダージョ – フーガ – アダージョ – フーガ・ダ・カーポ
アンダンテ
プレスト


交響曲変ロ長調
アレグロ・アッサイ 4’45
アンダンテ 3’02
ラ・コンフュジオーネ(La Confusione) 2’47


交響曲ニ短調 Op. 3 No. 4
アレグロ・コン・スピリト 3’55
アンダンテ 5’33
アレグロ・ディ・モルト 4’02


交響曲ト長調 Op. 4 No. 6
アレグロ・コン・ブリオ 4’58
アンダンティーノ 4’37
フーガ:リンコントロ(Rincontro) 4’42


演奏:オルフェオバロック管弦楽団
指揮:ミヒ・ガイグ


だれ?って感じですが、CPOはいつも知らない作曲家を優秀録音で聴かせてくれたり、渋い作曲家の全集を出したり、外せないレーベル。
このリヒターのアルバムもほとんど世界初録音。こういうのは好きですね。古いのに世界初。このギャップがたまりません。クラシックはほとんどの場合、繰り返し古い作品を焼き直していると言ってもいいかおしれないけれど、18世紀の知られざる作品を聞かせてくれるこのレーベルは貴重です。


さて、フランツ・クサヴァー・リヒター(1709–1789)は、マンハイム楽派の形成期を支えた作曲家。古典派前期のこの頃の作曲家はみんな似たような曲が多い中にあって、リヒターは非常に独自の個性をもった交響曲作曲家です。バロック後期から古典派への転換期に立ち会った彼は、厳格な対位法と新しい交響的書法を融合させ、しばしばフーガを大胆に取り入れた意欲作を残しました。ケンプテンやマンハイム宮廷での経験を通じて、旋律の明快さと多声音楽の緊張感を併存させる独自のスタイルを確立し、その筆致は同時代の作曲家には見られない個性的な輝きを放っているとのこと。


まずはフーガ付きの交響曲ト短調。この曲はリヒターのシンフォニーの中でもかなり特異で、アダージョ-フーガ-アダージョ-フーガというちょっと例のない構成。宗教的な雰囲気のアダージョと厳格なフーガを往復させるという、この頃の交響曲としてはかなり個性的。
アンダンテは柔らかい旋律戦で、これは古典派の香りがします。そしてプレストはエネルギーに満ちた曲。


ここで演奏している指揮のミヒ・ガイグはザルツブルグ・モーツァルテウムに学び、アーノンクールと出会っって古楽の道へ。そしてジギズワルト・クィケンやイングリット・ザイフェルトに師事してバロックヴァイオリン奏者として国際的な古楽オケで研鑽を積んで、1996年にこのオルフェオバロック管弦楽団を創設しています。このコンビはすでに50枚以上のディスコグラフィーがあります。
非常に生き生きとして、そしてアーノンクール系のかなり突っ込んだアクセントを奏でますね。


交響曲変ロ長調は1750年頃の曲だそう。第1楽章は明るく、三和音を中心に据えている曲調は、まさにマンハイム楽派に繋がっているよう。アンダンテはチェンバロも目立ってバロック後期の歌と古典派的な抒情が美しい作品。
終楽章が面白くてヴァイオリンパートが3つに分かれて、違う拍子で書かれているとか。こういうの実験的、というよりは当時のユーモアというか、面白みを狙ったものらしいですね。音楽はそこまで複雑ではないけれど、古典派だけど込み入ったリズムとハーモニー。なんか時々面白い響きが確かにします。リヒターはこの楽章を《la confusione》(イタリア語で「混乱」)と名付けていたとか。面白いですね。9


交響曲ニ短調Op.3 No.4はやはりマンハイム学派らしいエネルギーを取り入れつつ、ちょっと多声的。古典派のようでありながらバロック的な多声的響きがすると言ったらいいかしら。過渡期の作品ですね。ガイグとオルフェオバロック管の演奏はかなりアタックを強めに弾いていて、確かにアーノンクールっぽい。
アンダンテは長調に転じて可愛らしい歌が暖かく広がり、終楽章アレグロ・ディ・モルトは躍動感たっぷり劇的な曲と演奏。


交響曲ト長調Op.4No.6は1764年に出版されて、リヒターの名前を当時のヨーロッパに広めた曲と言われます。第1楽章アレグロ・コン・ブリオは明るく和音で開始されて、いかにもマンハイム学派。モーツァルトもこの勢いに惹かれたのでしょう。2楽章はここも短いパッセージを重ねた柔らかい歌と時に見える決然とした表情の対比。
終楽章はどこかで聞いたことのあるテーマ、なんだろうと思ったらモーツァルト交響曲第1番じゃないかな?後半は違うけどそれがフーガ風に対位法的に進むのが独特で、リヒターならではの世界です。


ということで、あまり馴染みのない前古典派のシンフォニー。古いけど新しい、というのが相応しいアルバム。CPOのようなレーベル、頑張ってこういった知られざる作品を録音し続けてほしいです。

 

music.youtube.com

 

classical.music.apple.com

 

open.qobuz.com